男♂だから(~195pg)
「もぉ勘弁してくれよ、な?」


「……」


「てかそんなの持ってない方が変だって」


さっきより尖らした佐野の語調。



「それに俺が置いたもんじゃねぇし、…まぁ俺が持ってたとしても男なら一度くらいは読むのがじょー」




「男っだって言葉で簡単に済ますんじゃないよ!」


「…は…?」



佐野の適当な言い方に

ムカっと一気に頭に来る。



やっと抑えてきた、隠してた本音が一気に爆発する。




「いくら皆そーだっても、でも佐野はななの付き合ってるじゃん!なながいるじゃん!!なのに…なのに…」



「お前…」




「佐野は何でななと付き合ってるのよ!ななは、ななは胸だって小さいし、背もちっちゃいし、その人たちとぜんぜん違うし!」


悔しくて涙が出てくる。



こんなことで泣くってかっこ悪いかも知らないけど

でもね、

でもね、

涙が止まらないよ。


だってななは、

ほんとはずっと不安だったのに、

佐野もエロ本とか持ってたら、そんな女の人たちが好
きなら、


いつか、いつか誰かに奪われるんじゃないか、

ずっと不安だったのに、

なのに

佐野は

男だからって

そんな一言で片付けるなんて、


卑怯だよ。



ずるいよ、こんなの。




「…そんなにそんなにおっぱいでかい女が好きなら、なら美穂ちゃんとかと付き合えよ、バカ!」




悔しくて悔しくてたまらない。



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