男♂だから(~195pg)
怒りをやっと鎮めて

手に感じられるそれを意識してみたの。


シャツの向こうから伝わる佐野の心臓の鼓動。



佐野の言った通りすごい心臓の動きが伝わってくるの。



バクバク

バクバク

とどんどん速度を増していく鼓動。



「これが、ななの特別さ」


「……」


「ななじゃねぇとこんなに飛び跳ねねぇんだよ。てかんなの読みながらドキドキするわけねぇし。な?」



その言葉を聞いて少しは気分がほぐれる気もする。


でも、

でも…


「何で?」


でもまだ足りないの。



「何でななは違うの?何でななにだけドキドキするの?何でななは…特別、なの?」


もっと、

もっとななを納得させて。



「ったりまえだろ」


「……」


「おまえが、ななが、好きだから」
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