End of the Love 【短】
あの後
彼は何度も私に慰めのキスを落とし

本来の場所へと帰って行った


私もまるで何事もなかったかのように
皆の元へと戻る




数か月前までは普通だったことが
今ではこんなにも苦しくて
辛いなんて


私から離れる際に彼の放った言葉が
記憶の端をかすめた


“夕陽のことは俺が守るから”


何て優しくて
残酷な言葉だろう




彼は私にたくさんのものを与えておきながら

自分は何も望まない
望もうともしない


そう

私の心…

いや

身体さえも


彼はいつも私の表面だけを求めているから




目の前で無邪気に笑う梨絵さんを見て
ふとそんなことを思った





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