End of the Love 【短】
まだこの関係が始まって間もない頃
一度だけ聞いたことがある


“どうして梨絵さんと別れないの?”と


別れてほしいだとか
彼の一番になりたいだとか

そんなことを考えていたわけではない

ただ本当に疑問だったのだ


すると彼は
何の躊躇もなく
その質問に笑って答えた


“彼女は可哀そうな子なんだよ。
夕陽よりもっともっと…
哀れで孤独な子だ。
強くて芯のある子に見えるけど、俺はあんなに繊細な子を見たことがない。
だから今俺が梨絵の傍から離れるわけにはいかないんだよ”と




あぁ

私はこれからどんなに努力を続けても
きっと彼の一番にはなれない


決してあの場所に行くことはできない


彼の話しを聞いて心の底から思った



愛は形のないものだけれど

私と彼の関係は“恋”とさえ呼ぶことができない


ただのままごとだ
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