End of the Love 【短】
好きすぎて
愛しすぎて

いつの間にかお互いが自分の重荷になっていることにも気付かず

私は彼を
彼は私を求め続けていた




幸せだと
自分は十分に幸せだ、そう思い込んでいたのも

もう充分だと思っていたから




彼は何も望まなかったんじゃない

望むと私に無駄な期待させてしまうから
私を傷つけないよう
自分に依存しないよう

だから彼は決して私を縛りつけることはなかった




“どうして結婚するの?”

答えはとっくに分かっていたはずなのに
こんな日にまで彼に気を使わせるなんて

何て惨めで
情けないんだろう




最後まで彼のスピーチの言葉が頭に反芻していた
“大切”だと
“友人”だと
“ありがとう”と

そう言ってくれた彼に

お礼を言うのは私の方だ




どうしても最後の一言が言えない私に
そっと手を差し伸べてくれた彼は


最後の最後まで
優しい人だった




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