チョコ★キス
「まりあ、アレはさすがに祐太くんダメだと思うよ?」
「…え、」
「怒っても良いと思う、って言ってるの」
帆波にしては優しい言葉だ、と少し驚いていると、私たち2人は声をかけられた。
「帆波、まりあちゃん」
私たちを名前で呼んだのは、帆波の彼氏で祐太の親友の雅紀くん。その後ろには、同じく祐太と仲の良い拓海くんがいた。
拓海くんは、祐太の方を見ながら少し苦笑している。
「雅紀と拓海くん。…ねぇ、ちょっと2人で祐太くんのこと、止められないわけ?」
「うーん…」
怒ったような顔つきで、何も悪くない2人に食ってかかる帆波を見て、なんだか申し訳ない気持ちになる。
「バレンタインの女の子のパワーはすごいからなぁ…」
「それにさ――」
雅紀くんが頭を抱えていると、拓海くんが私に微笑みながら話しかけてくれる。
「祐太がなんも考えないで、あんなことするデリカシーがない男じゃないことは、まりあちゃんが一番分かってるでしょ?」
「うん…」
「じゃ、信じてあげて。祐太、何か考えがあってあんなことになってるんだと思うから」
拓海くんの優しい言葉に、ちょっと涙が出そうになったけど、なんとかこらえて頷いた。