HANDS
「あ、さっきの……」
そのリュウと呼ばれたオトコの右腕を見て、あたしは驚いて声を上げた。
「え?ああ、コケたヤツか」
ん?
その言い方、ちょっとイラッとしたけど。
「起こしてくれてありがとうございました」
ペコッと頭を下げた。
「この人だったの~?
良かったね、お礼言えて」
アイコはそれだけ言うと、コウタと名乗ったチャラそうなオトコと楽しそうに話し始めた。
あたしとリュウは取り残されたまま。
「すごいね、それ。
痛くなかった?」
リュウがあたしの隣に座ったので、その右腕を指差して言った。
「まあ、痛いっしょ。
これだけでかく彫ったらなあ」
Tシャツから伸びた腕にはトライバルのタトゥー。
この人、あんまり笑わないのかな。