HANDS

その日はいつもと同じように晴れて暑い日で。

あたしはいつもと同じようにリュウんちに来ていた。


珍しくリュウがタバコを吸っていて、あたしがちょっと嫌な顔をしていると

「なんだよ」
と、ふて腐れながらベランダに出て行った。

蒸し暑い空気が、部屋の中になだれ込んできた。
でもすぐにクーラーの冷風にかき消された。

虎次郎が寝ながらしっぽをぱたぱたさせている。


『勢力を保ったまま、大型の台風が近づいています…』

テレビから聞こえてくる声を聞きながら、読み終わったマンガを元に戻して次の巻を取り出したとき

はらり、と何かが床に落ちた。



「うわ、キレーなコ…」

拾い上げて思わず呟いてしまった。

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