HANDS

ノドがぎゅっと掴まれたように、痛い。

声が出る代わりに涙が出てきた。


うあ、何泣いてんだあたし。

「……ごめん…帰る、から…っ」

慌てて涙を拭って、フラフラと立ち上がる。


リュウは冷たい目で見ている。

そんな目。
初めてされた。


玄関に向かうあたしを虎次郎が2~3歩追いかけてきた。

けど、ただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、すぐに立ち止まった。


部屋をあとにするあたしに、リュウは何も言ってくれなかった。




そんなに怒るほど、ユリちゃんのことが大事なんだ。

なんなの。
この気持ちは。

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