HANDS

カズヤを受け入れようとしているカラダが情けなくなる。


例えばこれが、首を絞められているとか、ナイフを突きつけられているとか。
そんなシチュエーションだったら、違ったのかな。


「レナ。もうそんな暴れるなって。

大丈夫だから。
レナ……」


何度も呼ばれるあたしの名前。
だけど、少しも実感が無い。

抵抗するのも疲れて、情けなくて笑えてくる。


ようやくカズヤのカラダが離れると、力を振り絞って胸だか腹だか、がむしゃらに蹴り上げてやった。

「いってー…」

最悪。

でも、そう。自業自得。
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