HANDS
のろのろと服を着ていると、目の前に一万円札が数枚差し出された。
一瞬、意味が分からなかったけど、自分が貸していたお金だということを思い出した。
黙って受け取って、そのままバッグに入れた。
貸してあげてたんだから礼ぐらい言えよ。
「帰る」
立ち上がりながら言うと、
「送るけど。
あ、CDはどうする?」
そんなどうでもいいことを言うオトコを睨みつけた。
「いい。歩いて帰るから。
CDもいらないし。
バイバイ」
あたし、何やってるんだろう。