HANDS
ケータイを閉じてバッグに放り込むと、もう一度リュウを観察した。
昨日はTシャツの袖で隠れていて見えなかったけど、タトゥーはドラゴンのデザインだった。
肩の部分に顔がある。
リュウの足元に絡み付いていた猫は、相手にされないことに気づいたらしく、またあたしのところへ戻って来た。
「お前、酒弱すぎだろ。
普通、カクテル2杯ぐらいであんななるか?」
どんなになってたか全然覚えてないんですけど。
「お前お前って言わないでよ。
あたしにはレナっていう可愛い名前があるんですー」
猫を抱き上げながら言うと、猫はゴロゴロと喉を鳴らしながら目を細めていた。
リュウは、ふーんと興味なさそうに言いながらTシャツを着て、タバコに火を点けた。