HANDS
無意識に、リュウのTシャツの裾を掴んでいた。
「なんだよ」
振り返って見下ろしてくる目が、怖い。
この前は泣きそうな目をしてたくせに。
「台風じゃん。
一人じゃ不安だから一緒に居て?」
「はぁ?」
面倒そうな顔をするリュウを見て、アイコがあたしたちの間に割って入ってきた。
「まあまあ、いいじゃんリュウくん。一緒に居てあげてよ。
こんな酷い天気の日に一人なんて、寂しいから~」
そうそう。寂しいの。
更にコウタくんも、リュウの肩をぽんぽんと叩きながらなだめている。
「女のコ一人だと色々危ないじゃん?停電とか…」