HANDS

すがるような目で見ていると、リュウは観念したように溜め息をついた。

「仕方ねーな…」


アイコが小さくガッツポーズをして、口パクで「頑張れ」と言ってから帰って行った。

いや、頑張れって何を?



ドサッと音を立てて、リュウがベッドに横になった。
そこに座っているあたしに振動が伝わる。

「もう寝るの…?」

「ああ。…ねみぃんだよ」


機嫌が悪そうな声。


仕方なく電気を消して、あたしも横になった。

部屋が真っ暗になると、ますます暴風雨の音が大きくなった。


みんなで話してたときはほとんど気にならなかったのにな…。
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