HANDS

自分の声が震えているのが分かった。
リュウは何も答えてくれない。

広い背中を見ていると、ゆっくり寝返りを打って、リュウがこっちを向いた。



そして何も言わないまま、あたしの背中に腕を回した。


「……へ?どうしたの…?」

「いいから寝ろ」

かすれるような声で囁かれた。


や、心臓が。
キューッてなるんですけど。


こんなに不機嫌な声なのに、ムカつくのに、訳分かんないヤツなのに。



ドラゴン模様の腕の中は、何故か安心する。
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