HANDS

慌てて後ろを向くと、笑いを含んだ声が聞こえた。

「留めてやろーか?」


「…っ、変態!」

「はあ。まぁ仮に誘われても何もしねーよ、バーカ」


バカとは何よ!
ほんとムカつく!

また溜め息つかれたし!

「ちょっと、あっち向いててよ!」
「はいはい」


恥ずかしさと怒りで顔が熱い。

でも、なんか。


そんなに嫌じゃないんだ。

無事にホックを留めて振り返ると、何故か急に、リュウの右腕に手を伸ばしていた。
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