HANDS

「ねぇ、コレどういう意味?」

その文字に人差し指で触れると、やっとリュウが腕を引いた。

そこには触れられたくないみたいに。



リュウは雑誌に視線を落としたまましばらく考えたあと、静かに言った。

「……Rest in peace――安らかに眠れ」


安らかに…?
その意味を探りながら首を傾げていると、更に意味の分からない単語が投げられた。

「――幼なじみ」

「え?」


「幼なじみだったんだ…あの写真の――ユリ」



また、心臓がキューッとなった。

リュウが、いつかの、あの泣きそうな表情をしていたから。
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