HANDS
不器用な腕

リュウとユリちゃんは家が近所で、幼稚園から高校までずっと一緒だった。


ユリちゃんは可愛くて、いい子で、みんなから好かれていた。
カレシが居たこともあった。

リュウももちろんカノジョが居たこともあって、ほんとにお互い『ただの幼なじみ』だった。


高校の卒業式の日までは。


「あの写真撮ったあと、ユリが信じられねぇコト言ったんだ」



『あたし、タカくんと付き合ってるんだ』


タカくん。
つまり、リュウの3コ上のお兄さん。


そのときリュウは、突然置いて行かれたような気持ちになって、自分の気持ちに気づいた。

でもそれは、遅すぎた。

< 141 / 192 >

この作品をシェア

pagetop