HANDS
不器用な腕
リュウとユリちゃんは家が近所で、幼稚園から高校までずっと一緒だった。
ユリちゃんは可愛くて、いい子で、みんなから好かれていた。
カレシが居たこともあった。
リュウももちろんカノジョが居たこともあって、ほんとにお互い『ただの幼なじみ』だった。
高校の卒業式の日までは。
「あの写真撮ったあと、ユリが信じられねぇコト言ったんだ」
『あたし、タカくんと付き合ってるんだ』
タカくん。
つまり、リュウの3コ上のお兄さん。
そのときリュウは、突然置いて行かれたような気持ちになって、自分の気持ちに気づいた。
でもそれは、遅すぎた。