HANDS

「2人とも半ヘルで――。

まぁ…フルフェイスのメット被ってても、助かったかどうか分かんねぇけど」

リュウの横顔を見つめたまま、あたしは何も言えずに固まっていた。


「2人とも体中傷だらけになって…
俺は…最後まで、ちゃんと顔を見ることもできねぇまま――」


ついにリュウが苦しそうに声を詰まらせた。


ああ、だから……

『お前、そんなカッコでバイク乗んなよ』
『自分が気をつけてても、
何が飛び出して来るか何が突っ込んで来るか分かんねーだろ』


あの時はムカッとしたけど、リュウはどんな気持ちで言ってたんだろう。
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