HANDS

「あーもう。
泣くなよ、面倒くせぇ…」


いつもの台詞なのに。
今のは何故か、優しく聞こえた。



「…ムカつく…」

思わず呟いてしまった。

「は?
泣いてるくせに、可愛くねぇな」


うっさいよ。

近くにあったティッシュを乱暴に取って、涙を拭いた。


「ね…ちょっと抱きしめて?」

「あ?なんで」


なんで?
そんなの知らないよ。

勝手に口が動いてたんだもん。
< 146 / 192 >

この作品をシェア

pagetop