HANDS
「え、サーフじゃん。
いいなぁ~。あたし四駆好き~♪」
パールホワイトのサーフの助手席に乗り込むと、タバコの臭いがした。
勝手に窓を開けると、爽やかな風が入ってくる。
時刻は朝9時。
あれ、今日の授業って何限からだっけ…。
よく分からない洋楽のヒップホップが流れていて、一言も会話を交わさないままライブハウスの前に着いた。
「なんか色々ありがとー」
適当にお礼を言いながら車を降りて、Fusionのトランクを開ける。
ずっと前から憧れていて、やっと手に入れたビックスクーター。
黒光りするボディにメッキパーツ着けまくって、3年ローン。
親に呆れられたっけ。
「お前、そんなカッコでバイク乗んなよ」
「へ?」
運転席の窓から厳しい顔が覗いている。