HANDS
無言で、あたしの一歩先を歩いて行くリュウ。
「ちょ、ちょっと…手……」
「あ?ああ」
うろたえるあたしから、リュウはしれっと繋いでいた手を離した。
自由になった右手を添えて、ちょっと立ち止まってカルピスを一口飲んだ。
ふう、と息を吐く。
「何、勝手なこと言っちゃってんの?」
「何が」
「『人のオンナに』…とか……」
もごもご喋っていると、部屋のドアの前に着いた。
「お前が、さっきのヤツと話したくなさそうだったから」
リュウは前を向いたまま、ぼそっと呟いた。