HANDS
ちょっと気まずい空気が流れて、沈黙している車内。
やっぱコウタくんに送ってもらえばよかった……。
なるべくリュウのほうを見ないようにしていた。
妙に心臓がドキドキ言っている。
「さっきの――」
「へっ!?」
リュウが少し口を開いただけなのに、過剰反応してしまった。
あぁ…何してんの、あたし。
ますます顔が熱くなる。
「さっきのヤツ、元カレ?」
前を向いたまま、淡々と話しかけてくる。
「…違う。
付き合ってはない」
「付き合って“は”?」
横目で見られて、目が合った。