HANDS
前を見据えたまま、リュウは黙りこくってしまった。
「……ありがと」
「あ?何が?」
まだ怒ったような声。
「心配してくれたんでしょ?」
「……まぁな」
暗い道路を、決してスピードを上げることなく走って行く。
いつだってリュウは安全運転で。
あたしのことをいつも心配してくれるんだ。
心臓がキューってなるのが、どうしてかなんて、
もう分かってるけど、でも言えない。
付き合うって、やっぱ多分面倒臭いし。
今までみたいに、あたしが終わらせてしまうかもしれないじゃん……。