HANDS
しかも、リュウはまだユリちゃんのことを想ってるだろうし。
腕にタトゥー入れちゃうぐらいだし…?
「まだ、好き…?」
「あ?なんて?」
思わず呟いてしまった言葉は、薄く流れていたヒップホップにかき消された。
はっと我に返ると、一気に顔が熱くなった。
「なっ…なんでもない!」
「そう」
ゆるやかに角を曲がると、あたしのマンションの前だった。
「はい、お疲れ。
一人でもちゃんと寝ろよ」
からかうように笑って、あたしの頭に手のひらが軽く触れた。
「…うん」
ヤバい。心臓が……。