HANDS
あたしが玄関のドアを開けるのを見届けると、サーフは走り去って行った。
ほんとは帰りたくなかったんだけどな……。
『いつも会いたいとか、くっつきたいとか。
ドキドキするとかじゃないの？』
いつかアイコが言った言葉が、頭の中を巡って行く。
どうしよう。
今までこんな気持ちになったことないから、どうすればいいか分からないよ。
自分から告白したことなんてないし。
てか、自分から好きになったことさえないから。
ドアにもたれたまま、ぼんやり部屋を見つめた。
真っ暗な部屋は、あたしの心をますます混乱させる。
