HANDS

アイコはフォークを持って、口を開けたまま一瞬止まった。

「え、まじ!?どうしちゃったの!?」

目を見開いてそう叫ぶと、ケーキを口に運んだ。
もぐもぐしながらも、アイコの目は見開かれたままで、その迫力に押されてしまう。


「…何、その反応。

そういうことなんですけど。
どうしたらいい?」

「ふーん…レナがねぇ。へー」


あたしが真剣に悩んでいるっていうのに、アイコは嬉しそうにニヤニヤ笑っている。

「コクッちゃえばいいじゃん。
そんな悩むことなくない?」

「簡単に言わないでよ…。

今まで告白したことなんかないんだもん」


溜め息をついてソファにもたれると、グラスの中の氷が小さく音を立てて崩れた。

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