HANDS
しばらく思案していたアイコが、唐突に口を開いた。
「もう電話しちゃえば?」
「…は?今?」
ああ、絶対すごいマヌケな顔になってる。
「うん、今。
あ、電話で言っちゃえってことじゃないよ?
会う約束して、で。みたいな」
アイコにしては珍しく、柔らかく微笑みかけてくる。
会う約束……。
そう言えば、自分から連絡するって言ったくせに、メールさえできてない。
「頑張れ!あたしもここで応援してるから」
「……うん」
ゆっくりと、バッグに手を伸ばした。