HANDS
逸(はや)る心

呼び出し音が長くなるほど、緊張が増していく。


そろそろ留守電に切り替わりそう…
と思ったとき、やっと呼び出し音が途切れた。

だけど、電話越しの声を聞いた瞬間、

思わず終話ボタンを押してしまっていた。


そのまま呆然としていると、アイコが不思議そうな目で問いかけてくる。

「……オンナが出た…」
「は?なん――」

アイコの声を遮って、ケータイが鳴り出した。


【着信 リュウ】

焦ったあたしは、ケータイを無理矢理アイコに押し付けた。
< 167 / 192 >

この作品をシェア

pagetop