HANDS
“好き”って何
芝生の広場を通り抜け、食堂に入って行くと、
いつものテーブルにアイコが居た。
昼休みだから、結構混雑している。
「ちょっとアイコ~。
昨日あたし放って行ったでしょ」
椅子にバッグをどかっと置き、向かい側に座る。
「あー、ごめんごめん。
コウタくんと話が合っちゃって~。
そっちはどうだった?」
ニヤニヤ言ってくるけど。
「別に。
気づいたら朝だったよ。
なんかアイツ感じ悪いしー」
でも男前じゃーんともったいなさそうにアイコが呟く。
「そうだね。
あ、虎次郎可愛かった」
「は?虎次郎?」
「ん?猫飼ってたの」
アイコのコップの水を勝手に飲み干す。
「猫!?意外~」
パスタをフォークに巻き付けながら大げさに驚いて見せている。