HANDS
夜道に低く響く、バイクのエンジン音。
なんで病院こんなに遠いの!?
早く。
早く行かなくちゃ。
シールドの隙間からわずかに入ってくる風も、心地いいと感じる余裕なんて無かった。
爆音の中、あたしを引っ張りあげてくれた腕。
その腕のタトゥーに込められた想いも、意地悪く聞こえてしまう言葉も。
全ては、リュウの優しさなんだよ。
もう少し早く、素直になったほうがよかったのかな……。
乗り捨てるかのようにバイクを停めて、入り口に向かって走った。