HANDS
さっき、リュウの電話に出た人の声。
「…はい」
「あれ?電話に出たコの声じゃないね。
さっきのは違うコかぁ…」
そのオンナの人は、わずかに微笑みながらゆっくり椅子から立ち上がった。
キレーな人……。モデルみたい。
ほとんどスッピンなのに、うらやましい。
じゃなくて。
「あの…っ、リュウは――!?」
見惚れていたことにハッとして声を上げると、その人の顔が曇った。
少しうつむいて、長い黒髪が顔にかかる。
お願い…辛い話は聞きたくないよ。
「実は――……」