HANDS
「ケータイ鳴ってるよ?」
あ、ヤバい。
すっかり忘れてた。
震えるケータイをバッグから取り出す。
【何してんの?心配なんだけど…】
はぁ。と溜め息を吐くと、
「ユウジくん?」
アイコが目ざとく突っ込んでくる。
「そう。昨日から放置しちゃってて。
なんて返そうかなぁ…」
「酷い彼女だな~」
キャハハと笑うアイコを無視して、ケータイを片手に色々と言い訳を考えたけど、面倒なので事実を報告することに。
【ごめーん。
ライブのあとアイコと飲んでて酔いつぶれてたぁ(>_<)笑
今はちゃんと学校来てるよ】
まぁリュウんちで寝てたことは言わないけど。
「次の授業なんだっけ?」
「宗教学かな」
「うあ、絶対寝るーーー!」
叫んでいるとメールが届いた。
【あんまり心配させないで】
別に「心配してくれ」なんて頼んでないんだけど。