HANDS
それでもまだ、腕から逃れようと頑張ってみたけど、リュウは愉快そうに笑いながら力を強めていく。
「言ってろ、酔っ払い」
「ちょ……苦しー」
恥ずかしさなのか、強く抱きしめられているせいなのか、もう分からなくなってきた。
「レナ」
「…何よ」
名前を呼ばれるだけなのに、くすぐったい気持ちになるのはどうしてなんだろう。
そして、どうしてこんなに意地を張ってしまうんだろう。
やっと腕から開放されると、穏やかに微笑むリュウと目が合った。
そんな顔するなんてズルい。
もう心臓が破裂寸前。