HANDS

「だからー」

あたしはもう一度、抱きしめられた。


「好きだって言ってんじゃん」

ああ、ダメだ。
涙腺が崩壊する……。

ビールのせい?


それとも、耳元で囁くリュウのせい?


「二度も言わせんな、バカ」

軽く、頭がはたかれた。
それが合図かのように、一気に涙が溢れてきた。


「バカ…じゃない…っ」

必死に言葉にしようとするのに、上手く声が出てこない。



でも、伝えなきゃ。

あたしも。

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