HANDS

真っ赤な顔をして涙を流しながら、そんなこと叫ぶなんて。

「やっぱお前、おもしれーな」


「うるさ――」

文句を言おうとした口は、塞がれた。


一瞬、時間が止まったのかと思った。

「な、何!!!!」

顔が熱すぎる。


「てか、さっきから虎が凝視してんだけど」
「へっ?」


虎次郎は、首をかしげたまま、黒目がちの緑の瞳をあたしに向けていた。

「ぷっ、虎のキョトン顔めちゃくちゃ可愛い」


虎次郎のおかげで、少しだけ、緊張が解けた。
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