HANDS
「レナちゃん、ちょっとカゴ片付けて来てくれない?」
「はーい」
後ろのレジから声がかかり、あたしはひとつのワゴンにカゴを積んでいく。
自分の身長ぐらいに高くなったカゴを、正面入り口まで押して行く途中で、
何かにぶつかった。
「痛…」
聞こえてきたのはオトコの不機嫌そうな低い声。
「あっ、申し訳ございません!
大丈夫ですか!?」
マニュアル通りに丁寧な言葉を喋る。
と、見上げた先にはあのオトコが居た。
「またお前かよ」
頭をかきながら、呆れた表情で見下ろしてくる。
「リュウ?何してんの?」
「何って…買い物に来たんだけど。
ここスーパーだろ?」