HANDS

虎次郎は鬱陶しそうにしっぽをぱたぱた動かしているだけ。
でもリュウは強引に、でも優しく首輪をつけた。

「良かったなー」

それでも眠り続けようとしている虎次郎の頭を
優しく撫でていた。


「ありがとな」

ドラゴン模様の腕が、あたしの方に伸びてきて、
温かい手のひらが頭に触れた。

「あ……うん」


驚いて、思わず目を逸らしてしまった。
そして目に付いたのは、吸い終わったタバコが2~3本入った灰皿。


「そう言えば、リュウってあんまりタバコ吸わないの?
ボウリングのとき全然吸ってなかったよね?」

コウタくんは大量に吸ってたけど。
お陰で、髪も服もすごい臭いになった。


< 59 / 192 >

この作品をシェア

pagetop