HANDS
しばらくは呆然としていたけど、だんだんリズムに乗って楽しくなってきた。
お腹に響いてくるベース音が心地いい。
腕を上げて声を出していると、後ろから押してくる人たちのことも、
多少は気にならなくなる。
ぎゅうぎゅうに押し込められた空間で、観客のテンションは上がりっぱなし。
ボーカルもTシャツを脱ぎ捨てて、半裸で歌っている。
そして、ボーカルはギターをかけたまま観客の上に背中からダイブしてきた。
ちょうど、あたしたちの真上に。
指先に、汗でヌルッとした背中を感じた瞬間、
周りの人たちがスローモーションのように見えた。