HANDS

「あー。元々そんなに吸わねぇけど。
お前、タバコ嫌いなんだろ?」

「うん。まぁそうだね」

やっぱり気遣ってくれてたの?
アイコが言ってた通り、実は優しいのかな……。


「タバコ嫌いって知ってんのに、わざわざ吸うのも悪いだろ」

ぷしゅ、と音を立ててコーラのキャップが開けられた。
その音に、虎次郎の耳がぴくっと反応している。

「…ありがと」

たまに言葉は冷たいし目つき怖いけど、ほんとはいいヤツなのかな。

オレンジジュースのキャップを開けると、音はしていないのに虎次郎が起き上がった。


「虎次郎~。
ほんと似合うじゃん、それ。
可愛い~」

軽やかにベッドを飛び降りて歩いてきたので
両手で顔を挟み込むように撫で回していると、ちょっと嫌そうな顔をされた。

でも、噛んだりしないからいいコ。

< 60 / 192 >

この作品をシェア

pagetop