HANDS
「あー。元々そんなに吸わねぇけど。
お前、タバコ嫌いなんだろ?」
「うん。まぁそうだね」
やっぱり気遣ってくれてたの?
アイコが言ってた通り、実は優しいのかな……。
「タバコ嫌いって知ってんのに、わざわざ吸うのも悪いだろ」
ぷしゅ、と音を立ててコーラのキャップが開けられた。
その音に、虎次郎の耳がぴくっと反応している。
「…ありがと」
たまに言葉は冷たいし目つき怖いけど、ほんとはいいヤツなのかな。
オレンジジュースのキャップを開けると、音はしていないのに虎次郎が起き上がった。
「虎次郎~。
ほんと似合うじゃん、それ。
可愛い~」
軽やかにベッドを飛び降りて歩いてきたので
両手で顔を挟み込むように撫で回していると、ちょっと嫌そうな顔をされた。
でも、噛んだりしないからいいコ。