HANDS
しばらく首の周りを撫でていると、グルグル言いながら、気持ちよさそうに目を細めていた。
「可愛いなぁ~」
抱き上げて、ツヤツヤの毛に顔をうずめると
「タバコ臭い……」
「あ?」
テレビを見ていたリュウがこっちを向いた。
ちょっと、顔怖いんですけど。
「虎次郎、臭いよ~。
今度シャンプーしてあげるからね~」
リュウの視線を無視して、虎次郎に話しかける。
「お前、また来る気かよ」
「いいじゃん、別に。
だって好きなんだもん。
――虎次郎が」
あえて間を置いてみたけど、リュウは特に表情を変えなかった。
「ちょっとぐらい焦ってよー。
面白くないな」