HANDS

なかなか手強い。
動揺するとことか見てみたいのに。

「バカじゃねーの?」


「虎次郎ー、
この人酷いねー」

「にゃあ」
「あ、やっぱ分かってくれるんだねー」

虎次郎がタイミング良く鳴いたので、嬉しくて撫で回した。
そんなあたしたちを一瞥して、リュウは溜め息をつきながらテレビに視線を戻した。


「お前の元カレって、あのスーパーでバイトしてたヤツだろ?」

次々と画面に映るニュースを見つめたまま、リュウが言った。
一瞬、なんの話か分からなくてポカンとしてしまったけど、

「そうだよ。
なんで分かったの?」

虎次郎をひざに乗せたまま、リュウの横顔を見つめた。
アイコも言ってたけど、男前だなー。

性格良ければモテるだろうに……。

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