HANDS
何時間かけて色塗る気なんだろう。
でも、キャンバスを見て納得した。
ほとんど真っ白。
「じゃあ、Aランチおごりでー」
まだ絵の具が洗い切れてない筆で、アイコのキャンバスの端っこに“A”と小さく書いてやった。
「え~……分かったよ。
じゃあ、12時前に学食のいつものとこで」
「了解♪食費が浮いて助かるわ~。
早く手動かしなよ」
ちっとも進まないアイコの手元を見かねて突っ込むと、ダルそうに花の絵を塗り始めた。
バケツと筆を洗って片付けているとチャイムが鳴った。
「あー…全然終わんないよぉ」
苦悩しているアイコを横目に、キャンバスを提出してバッグを持った。
「あたしバイトあるから帰るね~」
「はーい。また明日ー……」