HANDS
しまった、という顔をするアイコ。
「何?今日コウタくんとどっか行くの?」
「ん?あー、えっと…。
夜はレナんちまで迎えに行くね」
コウタくんのプレジでね。
あ、そうだ。
「コウタくんのお父さんって何者なの?
って、作り笑いはいいから色塗ってくださーい」
アイコが焦ってたことは無視して、全然違う話題を持ち出す。
あんな高級車乗ってたっていうからには、すごい人なんだろうな。
「あー、社長なんだって。建設関係の。
コウタくんもそこで働いてるって」
「へぇー」
自分からふった話題なのに、特に興味を示さないあたし。
ひたすら水色の絵の具を塗ったくっている。
アイコはちょっと不服そうにしていた。
緑色の絵の具で、あたしと反対側から塗っている。