HANDS

しまった、という顔をするアイコ。

「何?今日コウタくんとどっか行くの?」

「ん?あー、えっと…。
夜はレナんちまで迎えに行くね」


コウタくんのプレジでね。
あ、そうだ。

「コウタくんのお父さんって何者なの?
って、作り笑いはいいから色塗ってくださーい」

アイコが焦ってたことは無視して、全然違う話題を持ち出す。
あんな高級車乗ってたっていうからには、すごい人なんだろうな。


「あー、社長なんだって。建設関係の。
コウタくんもそこで働いてるって」

「へぇー」

自分からふった話題なのに、特に興味を示さないあたし。
ひたすら水色の絵の具を塗ったくっている。

アイコはちょっと不服そうにしていた。
緑色の絵の具で、あたしと反対側から塗っている。


< 70 / 192 >

この作品をシェア

pagetop