HANDS

黙々と色塗りをしていると、いつの間にか西日が差し込んできていた。

「え、もう夕方!?早っ」
驚いて声を上げると、アイコもバッと顔を上げた。

「は!?まじ!?
てかもうちょっとじゃん」

キャンバスの白い部分はほとんど埋まっていた。
色とりどりの模様が、オレンジの光りに照らされている。



「ありがと、レナー。まじ助かった!
提出してくるね!

あ、8時ぐらいに迎えに行くから!」

絵の具を乾かすように、キャンバスを振り回しながら
アイコは小走りで去って行った。

嵐みたいな子だな……。


手についた絵の具を落とそうと、石鹸を泡立てる。
なかなか落ちないなぁ…。


手で輪を作って息を吹きかけると、シャボン玉ができた。
でも、すぐに洗面台に落ちて割れた。

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