HANDS
……エレキギターの音が聞こえる。
そう思って目を開けると、耳元でケータイが鳴っていた。
ああ、あたし寝てたのね。
「もしもし?」
明らかに寝起きの不機嫌な声に対して、明るく弾んだ声で答えてくれるのは
もちろんアイコ。
『あれ?寝てたのぉ?
8時ごろ行くって言ったじゃん。
駐車場で待ってるから、早く出てきてー』
「へいへーい…」
ちょっと寝癖がついてたけど、ワックスで適当にごまかす。
「ごめーん。
知らないうちに寝てたわぁ~」
あくびをしながら、コウタくんの車に乗り込む。
「お疲れー。
じゃ、行きますか」
吸っていたタバコを灰皿に押し込み、コウタ君が車を発進させる。
「んで、どこ行くの?」
「とりあえず、スーパーかな~」