HANDS

バッグから財布を出したけど、
コウタくんが勝手にお金を払い終えてしまった。

「え、やっぱ悪いから出すよー」

千円札を何枚か渡そうとしたけど、手を振って拒否された。

「いいってー。俺らが誘ったんだし」

「でも……」

財布を持ったままうろうろしていると、
「大丈夫だってー。
こういうときは甘えとくもんだよ」

アイコがさらりと言って、買ったものをどんどん袋に詰めていく。


「…じゃあ、甘えときます。ありがと」

大人しく財布をしまって、お菓子を袋に入れた。




「てか、どこ行くのー?」

だんだん民家が無くなって、外灯ばかりが目立つ道を走っていく。
あたし、この2人の邪魔じゃないのかな。


「花火と言ったら海に決まってるでしょ!」

アイコがあたしのほうを振り返って、満面の笑みで言った。


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