HANDS
しばらく行くと、真っ暗な海が現れた。
「もうちょっとだねー♪」
車内に流れる曲を口ずさんでいるコウタくんに、アイコが楽しそうに話しかけている。
そんな2人の姿を、ぼんやり眺めた。
付き合うって、こんな感じ?
でもオトコって、色々面倒くさいからなー。
綺麗に整備された海岸。
車を停めると、コウタくんはタバコを吸いながら海のほうへ歩いて行った。
先客は、ちょっと離れたところに黒い車が1台だけ。
もっと人がいるかと思ったのに。
夏休みの高校生とか。
「ねー、今日はリュウ来ないの?」
この前また遊ぼうねーとか言ってたことを思い出した。
特に深い意味は無かったんだけど、アイコが嬉しそうに笑った。
「やっぱり会いたかったんだぁ?
心配しなくても、今コウタが連絡取ってくれてるよ」
「いや、別にいいんだけど」