HANDS

苦笑いしてから外に目をやると、コウタくんがこっちに戻って来ていた。
ケータイを片手に、ドアを開けた。

「リュウももうすぐ着くってさ。
どうする?海のほう行く?」


「蚊に刺されそうだし、もうちょっと中に居ようよ~」

アイコが言うと、コウタくんは素直に運転席に座った。
何気に尻に敷かれてるのかな。


しばらくすると、ルームミラーに眩しい光が反射した。
振り返って見ると、車のヘッドライト。

「お、来たかな~」


隣にパールホワイトのサーフが停まった。

いつものようにダルそうにリュウが降りてくるのを確認して、あたしたちも外に出た。


「お前ら、それ買いすぎだろ」

リュウは白いスーパーの袋を指差して、呆れた声を出した。

「え、そぉ?みんなでいっぱいできるじゃん♪
あ、リュウくんのジュースないよ!ごめん、買い忘れちゃった!」



< 77 / 192 >

この作品をシェア

pagetop