HANDS
オンナの影
「じゃあ、俺らちょっと行くとこあるから」
「ばいばーい」
アイコとコウタくんは、すごい勢いで帰って行った。
「えと…じゃあ、よろしくお願いします」
窺うようにリュウを見上げると、めんどくせーと言いたそうな顔。
でも、何も言わずに車に乗り、あたしが乗るのを待ってくれた。
「お前、せめて砂はらってから乗れよ?」
「あ、はい」
そんなに睨み効かせないでよ。
怖いから。
フラフラしながら服についた砂をはらって、よじ登るようにサーフに乗り込んだ。
今日はピアノの旋律が綺麗なバラードがかかっている。
また洋楽かぁ…。
なんて歌ってるのか分からないけど。
でもなんか、安心する――。
リュウは話しかけてこないから、自然に目を閉じていた。